国道134号(R134)は、横須賀から大磯までの国道で、昔は「湘南道路」といった。
われわれ小学生の頃は「ユーホドーロ」。それが「遊歩道路」と書くと知ったのは確か中学生になってからだと思う。
当時、遊歩道路とはなんてしゃれた名前だろうと子供心に思った。昭和30年の中頃のことだ。
当時は道の両側に植えてある防砂林の松林がまだ竹ざおのように細く背丈も2,3Mだったように思う。
国道一号線(R1)を唯一の例外として舗装されてまっすぐの道路はほとんど周囲にはなかった。しかも、海岸沿いで集落から少し離れていたから人通りはまずほとんどなく、車もたまに通るだけ。
シーンと静まり返った異様に立派な道がまっすぐ伸びていた。
あれは軍事用に作った。いざと言う時にここに戦車が走り、兵器を輸送する。中学生の誰かが良くそんなことを言っていた。
確かに「なるほど」と思わせる異常に立派さが際立った道だった。
松林は今は道を挟んで100m以上もあり、ちょっと不思議な景観でもある。
普通見られる商店やレストランが茅ヶ崎から西はほとんど無い。
松もあれから50年もたってすっかり大きくなった。
海岸のすぐ隣が森のよう。ちょっと中に入ると鬱蒼としている
20年ほど前までは江の島辺りのR134は夏になるとモーレツに混んでにっちもさっちもいかなかったが、最近では道も湘南なぎさプランの完成でだいぶ良くなり、大渋滞はあまりなくなった。
少し淋しいような気もする。
そういえば、茅ヶ崎に「パシフィックホテル」というホテルがあって、一時は大繁盛していたが、紆余曲折があって今はリゾートマンションが建っている。
このホテルを作った時も壊した時も見た。
作っていたのは確か「銭高組」。当時中学生だったと思うが、変な名前の建設会社だなあと思った。
あれから、50年近く。
湘南道路も周りの風景も人の風情も変わった。