2010年10月6日。
朝散歩していると金木犀の香りがあちこちでしてくる。
今年は暑い夏が長かったから少し例年より遅いのかもしれない。
金木犀は花木の中でも香りの強烈さでは群を抜いているかも知れない。
くちなし、沈丁花、蝋梅などいい匂いの花は多いが、とりわけ金木犀は路地を曲がると、どこともなく香ってきて振り返ると少し先に大概その木を見つける。
金木犀はいつも二つを思い起こさせる。
今から10数年前。
当時、勤務していた事業所は全社でも業績が極めてよく、毎年、経営改善社長賞の常連だった。
この申請書類作成を担当していた私は、締め切りの9月30日を目指して、毎年9月に入ると準備に取り掛かった。
経営改善なので製品企画から設計、製造、検査、受注、出荷に至るまですべての項目が網羅される。
関連部署に基本資料の提出を依頼し、最終的にはA3数枚の申請用紙に纏め上げるのだがこれが結構大変だった。
締め切りの1週間ほど前にほぼ完成し、最後に事業所長の了解をもらって本社に提出するのだが、その間の加筆訂正推敲は涙ぐましいものがあった。
もっとも何回かやっているうちに慣れてきて結構ラフになってきたりしたが・・・
ちょうどこの時期、遅い会社の帰りに道にどこからとなく漂って来たのが金木犀。
あの香りをかぐとあのころの辛いながらも充実した?10数年前を思い出す。
そのあと、10月に入って発表会の資料作りや準備に追われた。
そんなこともあって、多くの歴代の事業部長には単なる事業部長と社員に関係以上に深い付き合いが出来た。
後年になって、今度は本社で経営改善社長賞の全社事務局を担当する側になった。
これについてはとてもいい経験だったので又別の機会に記したいと思う。
もう一つは、高松の栗林公園。
今からこれも10数年前。
会社の研修会だったか分科会だったかで、四国に行った。
その際にせっかくだからと栗林公園によった。素晴らしい公園だった。
岡山の後楽園、金沢の兼六園、横浜の三渓園も立派だが、栗林公園は群を抜いていると思う。
公園を歩いていると金木犀の香りが・・・
金木犀は公園ならほとんどの公園に行けばその季節は馥郁たる香りがしてくるはずだ。
しかし、金木犀をかぐと、どうしてか栗林公園のシーンを思い出す。
ただ、それだけのこと。
その時何かあったのだろうか。ある辛い思いでも抱えていたのだろうか。今となってはそんな思いは忘れてしまった。
秋がいよいよ本番になって来た。
我が家の庭のは銀木犀だがいい匂いがし始めた。