2015年10月28日。
ある公民館の講座に出掛けた。
たまたま講師が妻の知り合いで、案内のパンフを頂いたが、面白しそうなので、その気になった。
内容は『鴨長明「方丈記」の世界 -天災地変の中で人はどう生きるか-』と言うもの。
方丈記は高校時代に「ゆく川の流れは絶えずして・・・」と覚えさせられた。
当時は、こうして「暗記」させられ、この暗記が結構今になって役に立っている。
枕草子、平家物語、徒然草、伊勢物語・・・
このほか、短歌、俳句、詩など数限りなく。
五箇条のご誓文やその昔は教育勅語なんかもあったようだ。
講師の話によると、方丈記は随筆ではなく、説教文学や評論に近いのではないかと言うこと。
自分の体験や実際に行ってみて感じたことを忠実に書いた。しかも、数字を使ってより具体的に示しているところが、秀逸と言うことだった。
万物は流転し、人間の営みは久しからず。つまり、いつもいつまでも同じでない。
久しいのは(同じなのは)自然のみ。
想定外のことはいつでも起こりうるということを知る。人生、望み通りいかない。人の世とはそういうもの・・・ 無常感。
と述べている。
長明が無常観に達するまでの背景として、彼が体験した五大災厄と言うものがある。
長明が23才から31歳までに体験したもので、
「安元の大火;都の1/3が焼失」
「治承の竜巻;京都を襲った巨大つむじ風」
「福原への遷都;突然の意味不明の遷都による大混乱」
「養和の飢饉;大飢饉と疫病、累々の屍」
「元歴の地震;山は崩れて海傾き・・」
とあった。
彼が生きた、今から900年ほど前。ちょうど平安末期から鎌倉時代に入ろうとするころ。
当時、人口は500万人くらいと言われている。
そんな中での災害は今とまた違った感じ方だろう。
そんな中で彼は無常観を深めていく。
「生死流転、三界は心一なり」
何か、先日読んだ、「人にはどれだけのものが必要か」に通じるところがある…
しからば、平成orここ50年くらいに、どのくらいの災厄があったか!?
昔と今では「尺度」が違うが、列記してみるとこんな感じだ。
1958年:狩野川台風 死者 888名
1959年:伊勢湾台風 死者 4697名
1983年:日本海大地震 死者 104名
1986年:伊豆大島噴火 全島避難
1991年:雲仙大噴火 死者 43名
1995年:兵庫淡路大震災 死者 6434名
2004年:新潟中越地震 死者 68名
2011年:東関東大震災 死者 15893名
2014年:御岳山噴火 死者 58名
ほか、行方不明者、家屋の被災等、甚大な被害がある。
また、この記載以外にも大きい災害は実にたくさんある。
鴨長明の生きていた時代と比較するのは難しいが、基本的には大差はなく、我々の生活は、こうした災害と隣り合わせ。
もう少し、「方丈記」を詳しく読んでみたい気持ちがした。
デッキの東側にある木を伐った。
夏中は枝葉で日陰を作ってくれたが、冬に向かって陽が欲しくなった。
さっぱりした。